★★★★ 2021年1月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ7
スタントシーンの撮影風景とかがそんなに残ってるわけではないので、映画の構成は、インタビューや現在の日常中心なる。
そこが物足りないとも言えるのだが、見てるうちに彼女たちの真摯な言動や物腰がじんわり伝わってきて、ドキュメンタリーとしてはこれで良かったとのかもと思えてきた。彼女たちには裏方稼業の忸怩たる思いなんか微塵もない。スタントの仕事が根っから好きだし前向きなのだ。
もうおばあちゃんになった3人。ジーニー・エッパー(TV「ワンダーウーマン」や「チャーリズエンジェル」)、ジュール・アン・ジョンソン(TV「ワンダーウーマン」や「ダーティハリー」)、ジェイデイ・デイビッド(「フォクシー・ブラウン」や「大地震」)がいい。かつて撮影中の事故で亡くなった同僚に話など。でも彼女たちは目に涙を浮かべながら言うのだ「今でもスタントやりたい」と。
初老と思われるデビー・エヴァンスの見せるバイクテク。30年のキャリアののちアクション監督として確固たる立場を築いたメリッサ・スタッブス。みんな痺れるくらいにいい歳のとり方してますわ。
映画創世記からの女性スタントの歴史もかいつまみながら、「インディ・ジョーンズ」や「マトリックス」、「ワイルドスピード」などの挿話も交えつつ、興味深い話も尽きません。
女性監督による作品だで、スタント界における女性の地位の変遷に言及しているが、フェミニズムへの殊更には拘らない。彼女たちの目一杯の生き様の前では言うに及ばないんでしょう。
気持ちのいい映画でした。
映像記録が残ってる訳ない往年の彼女たちの仕事。徒花として生きたにも拘らず溢れる誇りと懐旧の想い。その語りは各人皆素晴らしい。初老の御婦人デビー・エヴァンスの見せるバイクテクは良い生き様した者だけの真実。フェミニズムへの言及は微塵もない。(cinemascape)