男の痰壺

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ビバリウム

★★★★★ 2021年3月14日(日) 大阪ステーションシティシネマ11

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不条理に絡め取られて逃げられなくなる。

こういう設定は「ミステリーゾーン」や「ウルトラQ」の昔からあるので、そんなに斬新なものではない。むしろ手垢のついた題材と言ってもいい。

しかし、これほど狭雑物ゼロでプレーンに押されると新たな地平も見えてくるのだなあと改めて思いました。奇を衒わないオーソドックスな演出が好ましいと思います。

 

最初は何とかなるやろの思いで足掻く。だが年月が経ってだんだん疲弊してきて諦めに至る。そしてやがて、自閉的になり精神の均衡を崩していく。そういった経年変化が十全。

 

この映画には、「人間みたいなもの」は出てくるが異形のクリーチャーとかは出てこない。それだけに、中盤で彼女が子どもみたいなのを誘導尋問するシーンは、未だ見ぬ何かの片鱗が垣間見えて背筋が凍る。シュアな作りをしてると思います。

スティーヴン・キングが評価しているらしいが宜なるかなな終局。

 

手垢ついた題材だがプレーンに押すことに徹して疲弊し精神崩壊に至る経年変化が十全。人に非ずは明確に表するが絵としての異形は一切出さぬことで恐怖は倍化される。イモージェンによる詰問シーンは背筋が凍る篇中の佳境。見せすぎる今へのアンチテーゼ。(cinemascape)

 

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