男の痰壺

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アパッチ砦

★★★ 2021年5月4日(火) プラネットプラスワン

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これと後に続く2作で騎兵隊3部作と言われるらしいが、やっぱこれは「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」とは異質である。

それは、カスター将軍率いる第7騎兵隊全滅という歴史的な大トピックをモデルにしているからで、カスター糞野郎という70年代以降の通説が沁み込んだ俺には、どうにもヘンリー・フォンダ扮するサースデイ中佐の造形が生半可であった。

全面的ゲス野郎でなはく、このサースデイ、半端に好印象を与えたりする。特に中盤でのダンス会の無骨な立居振る舞いは「荒野の決闘」の教会でのダンスを思い出させる。

 

ゲス上官と現場を熟知した古参の軍曹みたいな構図は多くの戦争映画で踏襲されていくモチーフで、そういった刺激的な作品群に慣れた目に緩く映ってしまうというのもあるかも。

一方でジョン・ウェイン周りのあれこれは相変わらず心地良いのだが、フォンダに尺を割いてる分物足りない。

 

ラストは、西武開拓史の1コマが歴史の中に塗り込まれていく。そういう悠久の思いを込めたロマンティシズムは、フォード晩年の「リバティ・バランス」で大きくフィーチャーされる。

 

70年代以降のカスタークソ野郎の言説に支配されて見るフォンダの造形は生温い。現場主義の人格者ウェイン周りにはフォード一家が衆参して心地良いコラボを形成するが2つに分断された力点が強度を削ぐ。開拓史の伝承はシニカルさを欠いている。(cinemascape)