男の痰壺

映画の感想中心です

今年の恋

★★★★ 2021年5月23日(日) シネヌーヴォ

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俺は木下恵介の描くプチブルが性に合わない人間で、彼の現代コメディが苦手なのだが、これはスピード感があって良かった。

 

他愛無いお話で、彼と彼女は一目惚れなのだが、思い込みと行き違いが重なって互いを牽制し合う。でも、結局和解してめでたしめでたしで、終盤には車で熱海に遠征して富士山絶景かなで最後は大晦日の初詣でございます。なんでもお正月映画だったそうな。

 

映画が始まって高校生のガキどもの話がけっこう長く続く。はよ岡田茉莉子出さんかいとイライラしたが、この高校生の1人が先日逝去した田村正和の少年時代だったみたいで、見てる間は全然気づきませんでした。

 

とにかくこの映画、岡田茉莉子がぶんむくれ顔で吉田輝雄を詰りまくる。その台詞の勢いとテンポの良さに陶然としてくる、ってマゾかって話ですが、その彼女が最後はニッコリと元祖ツンデレでハッピーでやんす。

そういう映画でした。

 

出会いから行き違いを経ての恋の成就であるが、端から互い憎からじの出来レースを富士山絶景かなの天下泰平ドライブ行としめやかな除夜の鐘で開き直るお正月映画の鉄板。なかなか折れない茉莉子の膨れっ面と棘ある台詞の連鎖がツンデレ帰結を盤石にする。(cinemascape)