★★★★ 2021年7月15日(木) テアトル梅田2
【ネタバレしてます】
なんでもシャプロルが資金提供したらしいが、どういう因果かこれは「いとこ同士」逆バージョンみたいなもんで、あちらが真面目な貧乏人は所詮は負け組なのよと世知辛い現実を突き付けるのに対し、こちらは享楽的な遊び人が世界からスポイルされる。
ははーザマみさらせ自業自得じゃあ、と溜飲下がるのだが、映画の中段、全体の6〜7割を費やし男を追い込むロメールのサディスティックアプローチが容赦ないのでだんだん気の毒になってくる。でも、映画とはそこまで峻厳たるべき、ロメールやるじゃんと思ったら一転、男は最後に大金持ちになっちまう。
んなアホなと思いました。初期のデ・シーカやブレッソンとかを準えつつ見てたらルネ・クレールやったみたいな。
なんでしょうか、これ。
後期の作品では皮肉に満ちた毒視線を見せたりするものの、基本は優しいんでしょうね、ロメールって。
享楽の果ての地獄という反『いとこ同士』なテーゼを甚振りつくすような中盤のパリ彷徨。サディスティックな追い込みが初期デ・シーカ的な絶望への奈落を垣間見せる側から現れ出でたるクレール的放浪紳士に誘われ大卓袱台返しに至る。なんじゃらほい。(cinemascape)