男の痰壺

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紹介、またはシャルロットとステーキ

★★★★ 2021年7月22日(木) テアトル梅田2

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習作といっていいんでしょう。

男はシャルロットが好きなんですが、彼女はその気はないみたい。でも、なんだかんだで彼女の家までついていく。

汚れるから上がんないでと言われて玄関でボーっと立っている。

シャルロットは肉焼くわとフライパンで焼くと焼けた肉を皿に移して切り分ける。

このとき、生肉の載ってた皿に焼いた肉を無造作に載せるので、おいおいと思いました。

ほんの小さな肉片を男にやる。男は素直に御相伴に与るが残りは全部シャルロットが食い尽くします。

出かけるわと言って外に出る。

そして、駅に行って2人は別れる。

 

はあ、なんじゃそれの寸劇だが、肉食獣としての女の本質とロマンチック野郎の男の性が所詮は相入れぬという諦念が奇しくも表出してしまったロメールの初期作。

それを喜劇と捉えるのがロメールの真骨頂で悲劇として沈潜してしまうゴダールと好対を為すと思われます。

 

男を演ったのがゴダール、シャルロットの女優は知らない人だがアフレコで声を充てたのはアンナ・カリーナだそう。

 

無造作に肉焼いて食うって行為が女の即物的リアリズムだとすれば、小姓の如くに付き従いおこぼれに与るを良しとするのが浪漫チック男の哀しい性。これを哄笑できるロメールに対して内実に沈潜して袋小路に陥る男(ゴダール)。予見するかの如き習作。(cinemascape)

 

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