男の痰壺

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17歳の瞳に映る世界

★★★★ 2021年7月21日(水) 大阪ステーションシティシネマ

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近年稀に見る語呂のダサい邦題である。原題は「一度もない・めったにない・時々ある・いつもある」で不本意な妊娠をした彼女がソーシャルワーカーからの質問への答え方として提示される4択です。即物的でクールと言うしかない。

 

妊娠したことがわかった少女は産む産まないでは悩まない。相手はろくでもない男だし、未成年でどうにかなるもんでもない。問題は親にバレないで中絶するにはどうするかってことなんです。

このへん、男の俺は軽々に堕す堕さないの良し悪しなんか言えるもんではない。言えるのは、あー俺は男で良かったなくらいなところが関の山だ。

 

この映画にはフェミニズム特有のワンサイドな被害者意識はない。あるのはまだ未成年の彼女たちが苦境を乗り越えていくことへの肯定と賛同である。

 

親に知られず中絶するためにペンシルベニアからバスでニューヨークへ行く。同い年の従妹も心配して同行する。この映画の成功の要因は、この17歳の女子2人の関係性の虚飾のない描き方だと思います。

表面上の糊塗された振る舞いは全くない。心配や労り或いは苛立ちや憤りなどを静かにだがストレートにぶつけ合う。

 

日帰りのつもりが已む無く1泊する羽目になる。お金も底ついてバスでナンパしてきた男を呼び出す。このあたりの衒いのなさにも好感を持ちました。先述した被害者意識に拘泥してるヒマなんてない。目先の問題に対処するために女の武器使うのに躊躇しません。

 

何10年後かに中年になった彼女たちが.10代のニューヨーク行を思い出して笑い合う。ガハハあんときゃあたいら子どもだったよね。そういった未来へつながる女の生き方の全肯定。それこそがフェミニズムっちゅうもんちゃうやろか。