男の痰壺

映画の感想中心です

コレヒドール戦記

★★★ 2021年8月15日(日) プラネットプラスワン

f:id:kenironkun:20210816002958j:plain

幾つかの作戦が描かれるのだが全く冴えない。

戦時中、戦意高揚のドキュメンタリーとかを撮っていたフォードだが、戦後復帰作では、勇壮な戦争なんていう実感とかけ離れたもんは撮る気にはならんかったんやろ。

大体に、主役の2人が所属する隊は警備や伝令とかの後方任務中心で攻撃には携われない。しかも、戦局はフィリピン戦線において日本軍が優勢だった頃なので勇壮な展開になるわけないんです。

 

この映画の見どころは、負傷したジョン・ウェインが隊を離脱して入院した先で良い仲にになる看護少尉ドナ・リードとの顛末だ。

終盤、戦況芳しくなく部隊がぞろぞろと撤退する最中に、ウェインは彼女が戦火のなか行方知れずになったことを聞く。

フォードの演出も全くさり気ないのだが、それだけに苦渋のウェインが戦争の遣る瀬なさをにじませて余韻を残すのです。

 

負け戦の戦況に後方部隊の屁詰まり感が重なり前半は冴えない。終盤、疲弊した撤退行の最中に風の便りに聞く彼女の行く末。中盤の病院での顛末も細やかなもんなのだが、それだけに胸締め付ける戦時のロマンティシズム。柄じゃないウェインだから尚なのだ。(cinemascape)

 

kenironkun.hatenablog.com