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★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX

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恥ずかしながらこの有名な原作を読んだことないし話もどんな内容か知らなかった。でも、こういう怪異譚のオリジナルとも言えるベーシックなもので、宮沢賢治がオリジンなのか、彼もまた何かを参照したのか知りません。

が、ベーシックなオリジンだから取り立てて展開の驚きはなく、それをまたほとんど原作通りに映画化したもの。

 

見どころは銅版画をイメージした画調で、岡本忠成としては作風を一変させるものです。彼が制作途中で急逝したので終盤は川本喜八郎が引き継いでコンテを立てたらしいが、岡本がどのように締め括るつもりだったのかはわかりません。

結果、これは川本作と言われた方がしっくりくるような冷ややかな作品となっています。

 

木乃伊捕りがミイラにを語るに銅版画という手法が疑問で、ささくれ立つ画風は「山猫軒」の軟体性を減殺して気持ち悪さも半ば。因果応報の話としては序盤の猟犬の顛末が弱いので強度が不足する。古典を思い切って換骨奪胎する覇気がなく擬えてるだけに見える。(cinemascape)

 

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