「もう終わりだね きみは劣化したね まるで今日の日が来るなんて思いもしなかった〜」
「お久しぶりです」
「おう、ハチ公、ずいぶんとご無沙汰じゃねえか」
「失恋でもしたんですか」
「何言ってんだよ、コロナだよ」
「はあ」
「終わったんだよ、もう終わりだねだよ」
「そうすか」
「学者どもがよ、感染者の激減にさ、口を揃えてどうしたんですかねときたもんだ、なっ」
「はい」
「どうしたんすかねじゃねえよ、皆本心では劣勢変異でコロナ禍は終焉したんじゃねえかなって思ってるんだよ」
「…」
「ワクチンの効果とかさ、お為ごかしに言ってるけどよ、違うんだよ、勝手に消えたの」
「そうなんすか」
「はー、お前感じねえか」
「えっ」
「種としての生存本能がさ、もう大丈夫って言ってるのをさ」
「種としてのと来ましたか」
「お前は種として劣化してるね」
「劣化ねえ」
「そうと来た日にゃあこんなことしてる場合じゃねえぜ、マスクなんて取っ払ってXデイの到来を民衆に告げなきゃいけねえ」
「Xデイすか」
「そうよ、おいハチ公、ひとっ走りしてあのお方にご報告だ」
「おう」
「誰も責任取らされるのが怖くて言い出せない縮こまりの世の中だ、俺たちがやらねえと仕方ねえ」
「よし来た、ガッテン承知の助だ」
そして、2週間後、第6波が到来するのであった。