男の痰壺

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不思議惑星キン・ザ・ザ

★★★★ 2021年10月14日(木) シネヌーヴォX

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こういうユルなんちゃら系のを世間が言うほど好きじゃなく、カルトとして最早不動とも言える地位を確立した映画だと思いますが、今頃になって初見です。

 

固定カメラの遠くに見えたもんがドンドン近づいてくる。

アラビアのロレンス」のベドウィンオマー・シャリフの登場シーンじゃないが、映画という空間と時間を最大限に利するべき表現手段に於いて最もダイナミズムを獲得できる表現。

惑星キン・ザ・ザにおける宇宙船の初出シーンがそれで、俺は予想の上を行かれて居住まいを正しました。

 

ボケツッコミはボケが媚びてはツッコミが効かない。現れた2人組の宇宙人は風采や仕草はボケ規定の範囲内だが言うことやることはけっこうシリアスだったりする。これも良かった。

 

まあ、あとはなんだか見通しの効かないグダグダ展開なんだが、荒野のロケーションも魅力的で興味は持続しました。

義理人情的な終盤の展開はなんだかなーですが、スパッと円環か閉じるような編集も好ましいと思いました。

 

ボケがシリアスな基盤の上に立脚してるのであざとさがないし、映画に於ける空間移動のダイナミズムを掌中にしてる感があり想外の感興。帰れる帰れないの展開は相当にグダグダであるが風景の荒涼が地下世界の寂寥と好対置を為す。円環が閉じるような終局も粋。(cinemascape)

 

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