★★★ 2021年11月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ10
やたら評判良いみたいだが、それは、ホラーの枠を越境してジャンルがフュージョンすることが理由みたいで、でもそれって結局はホラー味が低下して怖くなくなるってことじゃねえ?
まあ、面白ければいいんですけど。
【以下ネタバレです】
冒頭のエピソードでは、夜中のお家で勝手に作動する家電製品とかが超常的で剣呑な色彩を帯びている。ホラーとしてまあオーソドックスな導入です。
しかし、中段で犯人を刑事が追い詰めて長い追跡行が始まると、そいつのハンパない身体能力がホラーのジャンルを越境してしまう。見ててワクワクするけどオイオイと思う。
後半で、嫌疑をかけられた主人公が拘置所に収監されてから始まるジェノサイドは、ほとんどターミネーターだ。いったい何十人血祭りにあげるねんの世界です。
俺はジェームズ・ワンの作品をあまり見てないです。「SAW」も「インシディアス」も未見で、見たのは「死霊館」と「狼の死刑宣告」くらいなのだが、破綻を旨とする作家という印象はない。そういう意味では、この行ってこいの作風は一皮むけたのかもしれません。
そういったサバケ方は基本好きだけど、最初に言ったように代わりに怖さがどっか行っちまうんですな。
ラストも疑問やなあ。めでたしめでたしですむんかいな。
デ・パルマ経由ジャーロ行きの筈が『ターミネーター』に着いちまったのを振り切れたと歓迎したい気もするが全然怖くないという戸惑いも。女囚監房から刑事部屋に至る大盤振る舞いは最早何の映画見てるのかのトランス状態。納得顔のラストが一番怖いかも。(cinemascape)