★★★★ 2022年1月28日(金) 大阪ステーションシティシネマ6
「運び屋」でも大概にヨボヨボ化していたイーストウッドの更なるヨボヨボ化著しい予告篇を見て見るのやめとこかと思ってたんですが、見てみるとあんまり気にならなかった。苦みばしって吐き捨てる決め台詞も健在。かと言って過度にマッチョでもなく、適度に女好きでもてる。うーん、知足という言葉が思い浮かぶ。
もはや、尖ったキレキレの展開なんてムリで、降りかかる難事は受け流すように飄々と切り抜ける。だって90歳の爺いがぼこぼこにやられるとこなんて誰も見たくもないですから。演出的にも、長年のキャリアの範囲で流してる感じが寧ろ枯淡の味わいです。
まあ、そういったふうに思えるのも、イーストウッドだからであるし、俺自身が爺いの領域に差し掛かっているからだとも思えるんです。
一発のパンチで死んじゃう領域に至った爺さんが、それでも過度にマッチョでなく適度に女好きで当たり前にモテる知足の境地を煩悩のかけらもなく提示した遺言。苦み走って吐き捨てる定番ガッデムは自筆での刻印。総括を枯淡で通せるイーストウッドの役徳。(cinemascape)