★★★★ 2022年3月24日(木) TOHOシネマズ梅田8
バットマンって何でこんなに映画化されるのかわからんし、特にどこがかっこいいのかわからん俺ですが、マット・リーブスが監督ってことで観ました。
ティム・バートンの「リターンズ」を未見なのでよくわからんのだが、あれに出てきたペンギンとかキャットウーマンが出てきて、そういう意味で先般の「ジョーカー」と包括して新たなサーガを形成するようなロマンティシズムを醸し出していると感じます。
それにしても、ペンギンが出てきたとき、俺はロバート・デ・ニーロか?と思ったんですがコリン・ファレルだとラストのクレジットを見て知りびっくりした。デ・ニーロアプローチの成功例だろう。同じ意味で、キャットウーマンもハル・ベリーかと思ったら違っていた。まあ、どちらともこんなに若いわけないよな。
こういったキャラの駒が揃って、中心軸の話の弱さを補って余りある世界の厚みが醸し出されているのが、この作品の最大の美点かもしれない。
閉塞する時代を映し映画においてもディストピアな世界観が蔓延するご時世だが、当たり前に希望を謳おうという終盤に予想外なことに若干胸打たれたりもした。
バットマンがキャットウーマンへの心惹かれる想いを断ち切って別れを呑んで新たな戦地へ向かう。延々とバイクで並走する2人を捉えた空撮が続く。この十二分な想いへの溜め。これも又、予想外に真っ当な王道感。
トランプ現象下で顕現した分断と個の孤絶に対して今一度融和と人の善意を問い直そうとの試み。キャラ総出の大構えな巨視感が一大クロニクル形成への予感を孕んで秀逸で、溜めに溜めたキャットウーマンとの別離の並走は良質のロマンティシズムの芳香さえ放つ。(cinemascape)