男の痰壺

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「国家の尊厳」先崎彰容 変容する世界

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ずいぶん前に買って気が向いたときぱらぱらと飛ばし読みしてた本なんですが、さっき読んだ最終章の一文

「給料が激減し住宅ローンが支払えず引っ越すことは、精神的な自己肯定感をたたきつぶすことでしょう。自分の積み上げてきたものが瓦解してしまうからです。」

がグサっときて、まんま俺やんけ、と思ったけど、まあ、定年とか業界苦の他律的な要因でもあるし、そもそも積み上げてきたもんなんてあるとも思ってないので、あんまり自己肯定感たたきつぶされてないかも。

なんて、気楽に言えるのも、今年に入ってからの自宅マンション売却の件が先日なんとか終わったからで、銀行に俺、不動産屋、司法書士が集まってのセレモニー、買い手からの振込待って、ローンの残債返済し、抵当権抹消して、登記変更し、手数料両者に支払って、ハイお疲れさんサイナラが終わったってのもある。

 

まあ、これで先行きの見通しが立ったわけでも何でもなく、次は入りを増やす手立てやーとから元気を盛り立てる俺であったが、本書で先崎が言う「社会承認の重要性」を尤もと思い躊躇するのであった。

格差や分断といったものを富の配分や偏在のみで捉える見方は確かに一面的に過ぎたと思われる。トランプ支持者や反原発運動や、本書で言及されてるわけではないが反アベ、反スガ、反自民、反維新などのSNSでの声の根底にあるのは社会承認要求。かく言う俺だって、映画の感想書いてイイネとかお気に入り投票もらってニンマリしてるやないかい。

 

先崎の言う家庭や地域社会への回帰は、反グローバリズムや反・新自由主義的な懐古主義的逆行に思えたでしょう、一昔前の俺なら。

だけど、本書を読んで改めて帰属がもたらす何某かについて思わされる。

「慎重にやれよ、俺」と。

 

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