男の痰壺

映画の感想中心です

激怒

★ 2022年9月5日(土) テアトル梅田2

直情的な剛腕刑事が干されて飛ばされて何年ぶりかで町に戻ってみたら、ろくでもない奴らに牛耳られ町は豹変していた。

とまあ、ハメット的にそそるプロットであり、そんなんで見に行ったわけなんですが。

 

主演で製作にも名を連ねる川瀬陽太にせよ、音楽でクレジットされてる中原昌也にせよ、各々の役者としての演技や文筆家としての映画本とかは好きなんですが、Twitterとかで言ってること見てるとリベラルスタンスバリバリの面子だ。監督の高橋ヨシキはよう知らんけど「秘宝」系の方みたいで、そうなら推して知るべしです。

そういうお仲間たちがターゲットにしたのは、おそらく又ぞろの故アベ提唱の「美しい国、日本」と思われる。そんなんに乗っかったら、とんでもない強権社会になってエライ目に合いまっせーです。

 

飛ばされてた川瀬が帰って来て見る日本は米軍(多分)の爆撃機が編隊を組んで上空を飛び交い、警察の記録文書は何故かほとんど黒塗りだらけだし、私生活までどっかから監視されているらしい。ですが、これらのトピックは確固たる世界観の構築から滲み出てきたものではなく、ちょっとやってみただけの域を出ません。無惨に迎合的な印象しか残らない。

 

とにかくシノプシスありきで、反・保守なテイスト塗しとけば後はどうともなるっしょ、やったれー的なテキトーが蔓延している。時にそういう勢いはプラスに作用することもある。だが、このワンサイドな批評性はチューボーの戯れ事にしか見えない。

なめとんのか思います。

 

本気汁の欠片もない表層リベラリストお仲間連がアベ叩いときゃウケるっしょで撮ったチューボー映画以下の「美しい国、日本」揶揄。迎合的トピック羅列の背後に確固たる世界観の構築が微塵もないのでひたすらに無惨だ。やるならちゃんとやれ嘗めとんのか思う。(cinemascape)

 

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