★★★★ 2022年8発31日(水) シネリーブル梅田1
別にチャーリー・ワッツを殊更にフィーチャーした映画ではない。なのにこのタイトルなんなんやろか思いますが。
ストーンズの1965年のアイルランドツアーを記録したもので、前年に「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」が作られており、ここはストーンズでも1丁の思惑もあったらしい。ただ、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」がリチャード・レスターの作家性がビートルズと互角に相対してるのに対し本作はプレーンな記録映画でしかない。でも、今となってはそっちの方がいいと思える。
2つの特筆すべきシーンが捉えられている。
1つは、コンサートが佳境になったとき、興奮した観客が舞台に上がって来てめちゃくちゃになるシーンで、生の映像で見る当時の若者たちの鬱屈と解放への希求。
もう1つは、ホテルの部屋でミックとキースが曲を作っているシーンで、傍にチャーリーがいるのだけど彼は単にいるだけで、意見を求められるわけでもないし手持ち無沙汰も苦にならないらしい。この個性が生涯のストーンズ稼業を全うさせたんやなあと思わせる。ブライアン・ジョーンズにはそれはできなかった。
それにしても、ミックの閃きに対して曲のベースの形をリードしてたんはキースやったんやーと改めて知る。合間にビートルズの曲を鼻歌で歌ったりもします。
移動も電車でガタゴト行く時代。別に酒飲んで大騒ぎするでもなく、紅茶はやっぱリプトンやねとか言いながら窓外の流れる景色に目をやる。チャーリーは静かに美術本を読んでいる。
なんかええなあと思います。
作り手の作家性が前面に出ない分、今となってダイレクトに伝わる彼らの素が好ましい。移動も電車でガタゴト行く時代。酒飲んで騒ぐでもなく、紅茶はやっぱリプトンやねとか言いながら窓外の流れる景色に目をやる。チャーリーは静かに美術本を読んでいる。(cinemascape)