★★★★ 2022年9月29日(木) シネリーブル梅田2
私事ですが、映画の感想のブログのタイトルが何で「男の痰壺」やねんってのは、もともとは日々のなかのムカついたこと、イラついたこと、泣き言、恥ずかしい希望・欲望とかの捌け口にgoo日記ってのを使ってたからで、それが流れ流れて現在のはてなに至る。面倒臭いからタイトル変えてないだけです。
本作は「ベスパに乗って」「島めぐり」」「医者めぐり」の3章から成る随筆体映画であるが、特に第1章「ベスパに乗って」は、まんまナンニ・モレッテイの痰壺です。で、これが圧倒的に面白い。それに比べると2、3章は一応物語らしきものに沿った展開で、それなりには楽しいけど1章に比べると落ちます。
ローマ市内をスクーターで走り回りながら四方山の思いを開陳する。このアイデアが得手して独りよがりの述懐の退屈さを緩衝する。リズムと爽快感が付与されております。
街並みの雑駁と整然の対比といった都市論的なネタもあるけど、映画絡みのネタがやっぱおもろい。シリアルキラー映画「ヘンリー」(未見です)をクソミソに言い、それを誉めた批評家を苛める(妄想で)、「フラッシュ・ダンス」が大好きと言ってたら道でジェニファー・ビールス&アレクサンダー・ロックウェル夫妻に出交わし話しかけるがスカされる、惨殺されたパゾリーニに思いを馳せ殺害現場を見に行く、などなど。
まあ、多分「フラッシュ・ダンス」大好きってのは胡散臭いですけど。たまたまローマに来てたジェニファーに出てくれ言うたらOKだったので後付けで作った話だろう。ホン・サンスの映画に出てくるジェーン・バーキンのようなもんだ。
ああ、俺も「男の痰壺」って随想映画を撮ってみたい。ジャンボ当たらないかしら。って買わへんのに当たるわけないわな。
身勝手な意見や思いを聞かされるだけの映画だがローマ市内をスクーターで走り回りながらの開陳がリズムと爽快感を付与してを独善を緩衝する。都市論めいたものもあるが『ヘンリー』・ビールス・パゾリーニなど映画絡みがやっぱ良い。1話目に尽きる。(cinemascape)