男の痰壺

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非常宣言

★★★ 2023年1月10日(月) 梅田ブルク7シアター2

ソウルからホノルルまでの航空時間は平均8時間半なんやそうだが、そういう時間軸の話の筈やのに見ていてこりゃいったい何日間の話やねん的なテキトーさがどうしても引っかかる。

 

【以下ネタバレです】

航空機を舞台としたバイオテロの映画だが、実は犯人は前半1/3くらいで死んでしまう。犯人との攻防というジャンル定型のアクションスキームを放棄して後はウィルスが蔓延した機体をどう収拾するかのポリティカルなドラマに舵を切るわけでその意欲は良しだが、それが冒頭に言ったようなお座なり連チャンではね。

 

ホノルルへの着陸をアメリカ政府から拒否されてUターン、今度は成田へ向かうが日本政府も拒否する。強行着陸を試みるがスクランブルした自衛隊機に威嚇射撃されるというセンシティブな描写がある。それはいいんだけど俺は面映ゆかった。だって今の平和ボケ日本に領空侵犯した民間機を撃墜するような決断ができるとは到底思えないんですわ。

 

もはや韓国映画を代表する2大レジェンドと言っていいソン・ガンホイ・ビョンホンの3度目の共演(多分)だが、空と陸で別個のドラマを演じてるだけで物足りなかった。国交大臣のチョン・ドヨン役不足です。

 

テロ犯との攻防というアクションスキームを早々と放逐し汚染機体の収拾というポリティカル作劇に舵を切る意気良しだが、ソウル→ホノルル8時間の往路が何日間にも感じる詰め込みまくりが時間経過の表現という映画の要件を冒す。2大レジェンド対峙も空振り。(cinemascape)

 

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