男の痰壺

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ひばり十八番 弁天小憎

★★★★ 2022年12月12日(月) 新世界東映

弁天小僧は男であり、それが女装し娘に化けて悪徳商人相手に一芝居という歌舞伎の舞台でしか成立しない倒錯劇だが、その弁天小僧を女のひばりが演じることで倒錯2段重ねのヘンテコな趣きがある。楽しかった。

 

約束事の世界と割り切って、随所で舞台での演劇鑑賞のような演出が施される。白浪五人男の大見得なんて当時の映画館ではイヨッとか日本一ッとか合いの手か入ったんでしょうね。

 

男装のひばりが女装するという倒錯2段重ねは、おっさんが小娘になりすます嘘八百の約束芸より爽やかだ。気っ風のいい啖呵の切れる彼女は弁天小僧もドンピシャ当り役。白浪五人男の大見得リレーは芝居小屋の舞台上という跳躍はどこか清順的でもある。(cinemascape)

 

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