男の痰壺

映画の感想中心です

イルカの日

★★★ 2024年7月15日(月) プラネットプラスワン

水面に顔を出して「パー(パパ)」と甘えるアルファ(イルカ)の超絶なかわいさに今更ながらに打たれる。CGなんてない時代の映画であるから本物のイルカなんだとの思いが輪をかける。これ見てしまうと、なんでも出来てしまうCGでどんなに本物と見紛う出来であったとしてもフンとしか思えません。

 

でも、それだけだった。マイク・ニコルズはデビュー以来尖った作品を連打してたが、この作品あたりを境に急速に凡化いていく。そのへんの作家性と商業的に割り切った映画作りが鬩ぎあったのかもしれない。イルカ可愛やの線をもっと情緒的に押しても良かった、ていうかそこを押すしか他に何もない企画だった気がする。

 

スコットが水槽の中でイルカと戯れながら、その流線型の体躯を愛でるシーンの耽美的とも言える出来。傑出したタイトルバック。など序盤で見るべきシーンは出尽くした感がある。

 

イルカが水中から顔を出してパーと甘えてくる超絶な可愛さはCGに塗れた昨今の似非・擬似の虚しさを照射する。灰色物体の緩やかな往来から唐突に目にフォーカスするタイトルバック。スコットとの官能的な戯れ。序盤で見どころは出尽くし後はスカスカ。(cinemascape)

 

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