★★★★ 2024年9月14日(土) プラネットプラス1
70年代の掉尾を賑わせた「地獄の黙示録」で出し殻になってしまったコッポラは急激に生気を失っていき、それでもお付き合いで見てたけど84年の「コットン・クラブ」を見るに至ってもうあかんわと見るのをやめた。再度彼の映画を見るのは90年の「ゴッドファーザーPARTⅢ」で、本作はその見なかった時期の何本かの1つです。
予想に反して普通に良かった。まあ、「ゴッドファーザー」と「地獄の黙示録」という映画史の2大アイコンをモノにしてしまった男のジレンマで何撮っても過去の偉業と比較されてしまうとこなんですが。
「地獄」で招き入れた欧州の至宝ストラーロとは次作「ワン・フロム・ザ・ハート」と2作でおさらばかと思ってましたが、本作の撮影はストラーロなんですな。おそらく盟友ベルトルッチとの大仕事「ラストエンペラー」に区切りがついて空いてたんでしょう。やっぱこの頃の彼の撮影の安定感は格別と改めて思わされる。
1ショットで時空を横断するシーンが数ヶ所あって滑らかな語り口に寄与しているのだけど、まあ、コッポラ&ストラーロのコラボなら、はー何か?レベルのギミックなんでしょね。
タッカーというアメリカ自動車産業史に打ち上げ花火の如くに咲いて砕け散った男の話である。そして、砕け散る前に裁判の最終弁論で失われた「理想のアメリカ」について一席と、まあ定番の展開です。でも、力ある作り手たちが手を抜かず紡ぎ上げた安定感はやっぱ良い。
ジェフ・ブリッジス、マーティン・ランドー、ジョーン・アレン好演。