男の痰壺

映画の感想中心です

夏目アラタの結婚

★★★ 2024年10月13日(日) 大阪ステーションシティシネマ

殺人鬼の死刑囚と結婚するって聞いただけで、ほぼほぼ見る気が起きなかったのだが、話が進むにつれ予想外にマトモな人間たちのマトモなドラマで予断を覆された。予告篇をさんざ見せられていて、またイヤミス系の話を見せられるのかと食傷してたのですが。

 

柳楽の役がヤンキー上がりの児相職員ってのが地に足ついてて良いと思いました。彼が3人の男を殺して切り刻んで棄てたシリアルキラーの女と成り行きで面談するあたりは、この手の題材の定番の腹の探り合いが下世話なマウントの取り合いに転じていく気取らなさに好感を持つ。柳楽の衒いのなさもあるが、黒島結菜の食えなさとノーブルの混濁が良い。

 

展開が後半彼女の出自と来し方に転じていくとノーブルが前面に出て先述のマトモさが素直に見る者の心を穿つ。結婚有りかも、となるのだった。この手のジャンルに於て悪意と救い無さが本流を占める時代に反主流とも言えるこの展開は新鮮。

 

堤幸彦の演出は例によって如才ないのだが、それでもガツンと魂に響くものに欠けている。そこがやっぱ物足りない部分か。

 

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