★★★ 2024年10月27日(日) MOVIXあまがさき11
2段重ねの構成になっていて、一難去って又一難であるのだが、一難目はかなり良い。巫女と弟子がアメリカくんだりまて除霊に行く冒頭から翻って韓国の先祖の墓に難ありとして、戻って風水師と葬儀師のコンビと合流して件の墓に赴く。
その剣呑な雰囲気の見事な醸成と除霊の儀式の様、墓掘り人夫たちの描写、更には掘り出した棺桶の処置のための火葬場の手配など、実に細かな具体性が伴われ、そこに4人のやり取りの妙が加わる。このあたりまでは傑作の予感もあった。
だが、一旦そいつが出てくると、まあ確かに剣呑ではあるが、この程度かとも言える出来で、何とかそいつを除霊してやれやれとなる。
ところが変異の兆候がやまず、掘り返した棺桶の下にも更に何かがあることを風水師が察知してもう一度掘り返すと、なのだが。
【以下ネタバレです】
大戦中の日本占領下の話が根っこにあり、1段目の棺桶の祖先は日本の統治軍の傀儡となって祖国朝鮮を売った売国奴であった。そして、2段目の墓には占領日本軍の武官が、とここまではわかるにしても、その武官には更に日本の戦国時代の侍の霊が時空を超えて憑依していた、とまあそういうことです。そいつが2メートル越す怪人となって実体化されて暴れる。なんだかなー、と拍子抜けする。
俺は一部のバカが言ってるような「反日映画」だと目鯨立てる気は毛頭なく、日本のアニメ大好き監督チャン・ジェヒョンの単なる思いつきだと思いますが、韓国人にとって遠く異界からに感じられるだろう日本の戦国時代からの悪霊が、なんだか怖さ半減の代物に感じられてしまったんです。これは、致し方ないことだと思います。
最初にも書きましたが、演出の力量はかなりのもんだと思います。