★★★★ 2024年10月28日(月) 大阪ステーションシティシネマ12
8万人が熱狂するコンサート会場の中とスタッフや警察が行き交うバックヤードを縦横に往還する脱出劇という点でシャマラン映画の中でも見事に大構えな舞台設定だし、とにかくひと時も立ち止まることなく移動し続ける主人公を追っていくシーンの連鎖が躍動的である。
シャラマンはヒッチやデ・パルマのようなカメラ使いの巧者ではないので、それらを比較の対象に挙げる向きには疑問を感じつつ、それでも敢えて言うならシリアル・キラーの窮地脱出を緻密に描いた点で「フレンジー」か。
スマートに切り抜けたいと思っていたが、追い詰められてやむ無く手の内を見せて打開を謀る。その結果どうなっちまうかは悪目に出そうだが急場では仕方ない。結果、何十年の隠し事が露見してしまう。
この映画の見どころは最終盤にも用意されていた。夫婦の対峙の濃密さを描くシャマランの戦慄を伴う哀しみの表現は「シックス・センス」以来かもしれない。