★★★ 2024年11月6日(水) 大阪ステーションシティシネマ4
予告篇の出来が最悪で、それなりに信頼する白石和彌の映画だからといっても見る気が起きなかったのだが空いてる時間にこれしかなかったので結局見ました。
開巻からしばらくはかなり良い。それは、戊辰戦争下に於ける弱小な新発田藩の生き残りを模索するポリティカルな葛藤が、隘路を縫って何とか生き残ろうとの踠きの切実感を伴うからで、この新発田藩家老の阿部サダヲを軸とした官軍・連合軍との鬩ぎ合いは、いかにもな笠原の政治力学のドラマトゥルギーを継承した見事なもんだと思います。
だけど、その大局の狭間で尖兵として使い捨てられる10人の罪人+1人の藩士の話は正直凡庸だ。予定調和の死に様と、大義を欠くエモーションと、ご都合主義の展開と、安いCGと、届かない殺陣とか色々あるんですが、1番の要因は主役である山田孝之の起動が遅すぎる点だと思うし、そもそもに彼をあまり戦闘能力のない人足とした点でカタルシスの半減は見えてた筈で、食い詰めた浪人くらいにしとけば良かったのにと思いました。
・死んでも与したくない奴らに加担する侠気。
・死んでも護りたい女房への想い。
ともに書き込み不足の感が拭えない。
群像劇を捌く白石の力量を部分的にせよ堪能できたのがせめてもの救いであった。