健さんを追うように文太も逝った年の瀬。
映画史的に、ひとつの時代の終焉を感じさせる出来事であった。
文太を初めてスクリーンで観たのは高校生の頃、「犬笛」という映画であった。何故、見に行ったのか今となってはわからない。文太目当てでなかったことは確かで、むしろ原田芳雄や竹下景子が観たかったような気がする。
同じ年の暮れに、地元の映画館で「仁義なき戦い」5本立てとぃう無茶な番組をやっており観にいったのだが、なぜか朝一の上映が「完結篇」から始まっており、初っ端から訳がわからんカオス状態で一応5本見たが何がなんだか、どれがどれで誰が誰なのかさっぱりわからん状態であった。
当然、文太についても殊更な印象は持たない。
この8本を建前上真ん中で突っ走るのは文太なのだが、しかし、これらは群像劇であり、たとえば健さんの任侠映画のような一本どっこで映画を背負う感じは文太になない。寧ろシリーズで印象のに残るのは、松方や小林や梅宮なのであった。
寧ろ、「日本の首領」シリーズのように、半歩退いた立ち位置で毎回死ぬのに違う役名で復活する文太に輝きがあった。
最近はもっぱら引退状態であった。
「影武者」の勝新降板に匹敵する映画史上の虚しい夢を形成してしまったと思う。