男の痰壺

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ダゲレオタイプの女

★★★★ 2016年11月5日(土) シネリーブル梅田4
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黒沢清はシネフィル系の小賢しさが邪魔して本質的には好きになれない作家だったが、前作「クリーピー」から、突然何かが変わったようだ。
加齢による内面の成熟なのだろう、多分。…と適当なことを言ってみるのだが、ひとまわり大きくなったことは間違いない。
冒頭、停車する列車のパンタグラフを捉えたシネスコの画面にフランス語のクレジットがかぶさっただけで、かっちょいい!
うーむ、ひとまわり大きくなりやがって…。
出そうで出ない幽霊の奥ゆかしさがJホラーとかじゃなく日本の古典的・伝統的な嗜みを備えて「う…雨月」とつぶやき俺は吐息を漏らす。うーむ、ひとまわり大きくなりやがって…。
毒素が草木を蝕む庭園は「カリスマ」の初期コンセプトだろう。土壌の融解は「叫」の再構築か。そういったモチーフをさりげなーくまぶすこれ見よがしでしたたかな作家性。うーむ、ひとまわり大きくなりやがって…。
と、ひとまわり大きくなりやがった黒沢清を堪能しました。
 
冒頭シネスコに仏語クレジットの恰好良さ。出そうで出ぬ幽霊の奥床しさは『雨月』な日本の伝統的嗜みを備える。毒素が草木を蝕む庭園は『カリスマ』初期コンセプトで土壌の融解は『叫』の再構築か。そういうモチーフをまぶすこれ見よがしでしたたかな作家性.。(cinemascape)