男の痰壺

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.ヒッチコック/トリュフォー

★★★ 2016年12月20日(火) テアトル梅田2
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期待もしてなかったが、やっぱりと言うか、これは「映画術」という本に関する映画とは言えない。
ヒッチコックトリュフォーに関する、もはや聞き飽きたような挿話をちりばめたアンソロジーにすぎない。
 
そりゃあ、スコセッシやフィンチャーのリスペクト談義を聞けるのは楽しい。
特に「サイコ」に関するスコセッシの見方は100%腑に落ちる。
 
だが、俺が何10年か前にあの写真がふんだんに使われた豪華本を読んでるときに感じたのは、ヒッチが得々と語る技法がその場で見れないという渇望だったはず。
そのあたりの渇望を映画は全く充たしてくれない。
要は文章と映画の引用が全くリンクしていないのよ。
 
偏屈へんたいデブ親爺にインタビューする繊細トリュフォーの緊張はおそらく通訳の屈託ないおばちゃんに随分助けられたに違いない。
ヘレン・スコットの存在の発見こそが、この映画の妙味かもしれない。
 
聞き飽き挿話のアンソロジー。『サイコ』に関するスコセッシの解釈は腑に落ちたりするが地文章と映画引用は全くリンクしない。偏屈変態デブ親爺にインタビューする繊細青年の緊張は通訳の屈託ないおばちゃんに助けられた。その発見こそがこの映画の妙味。(cinemascape)