★★★★ 2017年3月1日(水) 大阪ステーションシティシネマ9
結局は育ての何とかより産みの何とかに落ちつく展開なのだが、凡庸とは思わなかった。
そこに至るまでに充分なドラマ上の軋轢が展開されたし、示唆に富んだ細部が豊穣だからだろう。
ミムラ扮するネグレクト近似の母親が言う。
「母である前に女」なんだと。
そう言い切る女性は同性嫌悪の対象だろうが、男からすりゃあ志方ないかなと思ったり。
小学生のトモがリンコに問う。
「切ったおちんちんどうしたの?」
で、リンコが結構、詳細に手術について説明する。
横で聞いてる同棲相手のマキオの表情が良い。
「うわっ…」って感じがリアル。
ジェンダー絡みの主題を引くことなく前面に出しているが、そこに映画はとどまらない。
背後に横たわる輪廻のような母・娘・孫の女3代の性が裏テーマだ。
生田斗真は敢闘賞ものだが、映画を脇で支えた女優が良い。
しかし、何よりの驚愕的な発見は柿原りんかだろう。
このツンデレぶりは子役時代のジョディ・フォスターを彷彿とさせる。
結局の育てより産みの親展開が形骸的とは思えぬのはそこに至るまでに充分なドラマ上の軋轢が展開されたし示唆に富んだ細部が豊穣だから。ジェンダー絡みの主題の背後に横たわる輪廻のような母・娘・孫の女3代の性が複層的。掉尾柿原りんかの驚愕的発見。(cinemascape)