男の痰壺

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祇園囃子

★★★★ 2017年4月22日(土) シネヌーヴォ
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女を描くと言うより祇園内部の力学構造と、外部との関係性を解き明かす政治性の高い映画だ。
ただ、根本的に芸妓という職業が木暮や若尾が拘る体を売るという呪縛から解かれていたとは思えないので、そんな綺麗ごと言ったてしゃあないんちゃうんという違和感がある。
差配を取り仕切る浪花千栄子の言い分がもっともだと思えるのだ。
 
まあ、物語構成上のそういった難点に対し溝口は全くドライでクールに対処するので救いがたい情緒的な弱点にはならずにすんでいる。
 
宮川のカメラは完璧といってよいのだが、意外と長回しを排して柔軟な編集リズムを保持している。
 
女を描くと言うより祇園内部の力学構造と外部との関係性を解き明かす政治性が高い。プチ意地っぱりしてみたがやっぱ負けてもうたという身も蓋もなさを顔上げてあんじょう又頑張りまっさで切って捨てる溝口は全くドライ&クール。宮川のカメラも完璧。(cinemascape)