男の痰壺

映画の感想中心です

昼顔

★★★ 2017年6月13日(火) 大阪ステーションシティシネマ
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TVドラマは未見…っつうか見んでしょう、ふつう、おっさんは。
 
冒頭、離婚調停の和解文が出る。
なんか、安部公房砂の女」みたいでそそる。
全てを棄て、失って見知らぬ土地に流れてきた主人公。
なんか、桐野夏生の「ダーク」や「柔かな頬」のようなうらぶれ感がそそる。
 
この映画の設定モチーフは極めて文学的なんです。
 
…が、この女、自宅で鯖焼いて缶チューハイ飲んだりします。
ちょっと違う気がする。
 
開巻すぐに覚えた違和感は、その後とめどなく拡張していく。
以下、言っても詮無いが、基本、会ってはいけないっつうのに、ほとんど心的葛藤もなく会いに行っちまう。
ってどういうこっちゃ。
ドラマトゥルギーってもんが、まるでありません。
ギャグかと思った「他人の2人」のアレンジ劇伴が流れる仲良し子よしのピクニックが全く正気を疑います。
 
後半、まあ多少転がりを見せる展開のあと、ラストシークェンスはそれなりに見せる。
そこで加点しました。
 
誓約書で始まる魅力的な文学的モチーフは、辛抱一切ない2人のまま事逢瀬で水泡に帰する。土台、流れ着くのが海水浴場で缶チューハイ飲んでやさぐれてみせても高が知れる。身悶えするような恋心の表出には程遠く濡れ場も拍子抜け。ラストシークェンスで加点。(cinemascape)