男の痰壺

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20センチュリー・ウーマン

★★★★★ 2017年6月23日(金) 大阪ステーションシティシネマ
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母についての映画って山ほどあるが、あんまり食指がわかない。
ザコン的であるか近親憎悪的あるかにせよ、映画はドラマティックたらんとするからどっちかに振れる。
が、本作は、そのへんが実にニュートラルで醒めてるんです。
 
語り口が伝承的で説話的なのだ。
母、近所の女の子、間借り人の女の子、間借り人のおっさんの4人のプロフィールが適宜に挿入されるが、
それが、1979年という時代の写し鏡になっているのが堪らない。
 
のべつまくなしに吸われる煙草。
のべつまくなしに行われるSEX。
のべつまくなしに行われる喧嘩。
 
そういう時代だったとの冷静な回顧に徹している。
 
主人公の少年は、ボブ・ディランに似てる。
アネット・ベニングの表情リアクションが桃井かおりそっくりなのは驚いた。(偶然でしょうが)
 
彼女の顔のしわだが、俺は好きだ。
60代の桃井や70代の吉永小百合がつるんつるんの方がおかしいのだ。
 
オール・アバウトおっ母さん映画に有がちな過剰な思いの吐露を巧みに避けた伝承的で説話的な語り口が良い。登場人物4人のプロフィールがまんま時代の映し鏡になる。のべつまくなしな喫煙やSEXや喧嘩だが、そういう時代だったとの冷静な回顧に徹している。(cinemascape)