★★★ 2017年7月29日(土) 第七藝術劇場
この監督の「アジアの純真」って映画を何年か前に観たとき一種の覚悟のようなものを感じた。
平和な日本で安穏と暮らす緩んだ感覚を撃たれた気がした。
4時間、2,500円って普通なら俺は見に行かない。
「ハッピーアワー」とか「ヘブンズストーリー」とか「愛のむきだし」とか観たいのはやまやまでも、やっぱ違う映画を2本見たほうがお得なように思えるからスルーした。
でも、あの半ば狂った覚悟を4時間叩き付けられたらどうなるん…っていう怖いもの見たさで行った。
でも、全然怖くもないし、緩い映画だった。
間違いなく1時間は切れる。
コメディテイストや説話テイストが柄じゃない気がする。
甘っちょろい期待願望を叩きのめす終盤だけは、らしい気がした。
あっち側に行ってこっち側の生温い平穏を叩っ斬るようなルサンチマンは影を潜め、高所から胡乱な講釈垂れてるような体たらくだ。紛争地域である「島」が我々の何を照射するのか見えぬでは形骸だし済崩しのカタストロフは逃げだ。それでも第2章だけは面白い。(cinemascape)