男の痰壺

映画の感想中心です

エル ELLE

★★★ 2017年8月27日(日) 大阪ステーションシティシネマ11
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どうにも、今年上半期に公開されたユペール主演の「未来よこんにちは」と設定がかぶりすぎてる。
バツイチで成人の子供1人と老母
・元夫とは顔を合わせる機会が多い
・キャリアは充実期を若干ピークアウト気味
などなど…であるから、ユペールの演技も同じようなもんで、いささか出し殻感がある。
 
この映画は、彼女を取り巻く雑多な人間関係の錯綜を描いたものと言っていいだろう。
・ヘタレ息子と気が強い嫁
・老母と若いツバメ
・元夫と若い彼女
・仕事上のパートナーの女性とその夫(最近まで不倫関係)
・隣家の夫婦
 
これに、トピックとして
・レイプ事件
・幼少時代の父親の20数人殺戮事件
を化合するが、父親絡みのエッセンスが、彼女がレイプされながら警察に届けない理由としてしか機能しないのは如何なもんだろうか。
 
各々の人間関係やトピックの描き方はディテールとしては充実している。
しかし、それらは並列に配置されただけに留まってしまっている。
 
まっ、バーホーベンにそれほど期待してたわけでもないんやけどネ。
 
主人公を取り巻く群像カオスが皮相にオモロイが為に主線のレイプ事件が霞むし父親トラウマも後方に退く。卓下足ツンツンや双眼鏡自慰のエグキャラもユペールに呑まれて希釈された。引いては全体の統御なんて済し崩しだ。ならもっと崩れるのも一手だった。(cinemascape)