★★★r
前置きなしで、いきなり渦中に放り込まれる展開がいい。
1兵士から見た戦時の現場の混乱なんて、そんなもんだと思うから。
ノーランの「画」への拘りも実を結んでると思う。
特に戦闘機の挿話。
海上での戦いなのだが、海と空の持つ絶対的な静謐がロマンティシズムを横溢させる。
この映画、2/3くらいまでは、すごくいいんだけど、終盤端折り過ぎ感が半端ない。
どうみたって35万人が脱出したらしいが、せいぜい350人くらいにしか見えないのよ。
無名役者に有名なのを何人か混ぜて使ってるが、それがみんなかっちょいい役なのだ。
こういうのって粋じゃないと思う。
状況説明無く叩き込まれる敗走の混沌地獄の遥か上空では静謐のロマンティシズムが支配する。その対比が全て。撃墜され海へと落下する画の美しさは宮崎や押井へのオマージュめく。であるから、終盤の安直なヒロイズムで糊塗された収束は粋ではない。(cinemascape)