男の痰壺

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下町の太陽

 ★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ
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1960年を前後し松竹で若手映画人による反体制のムーブメントが起こる。
後に松竹ヌーヴェルバーグと称されるのだが、その輪に加わるこができず傍から眺めていた男がいた。
山田洋次。30歳。未だ監督昇進は果たせていなかった。
 
見ていて、そういうことをふと空想したのは、この映画が後の山田映画とは異質なロジカルな語り口を持つからだ。
山田なりの「愛と希望の街」みたい。
たぶん、忸怩たる思いがあったのであろう。
 
よくある、功利的なホワイトカラー男と粗野だが一本気なブルーカラー男の間で揺れる女心ってな話。
なのだが、印象に残るのは、折に触れ虚空を見つめて黙考するかのような倍賞千恵子の表情。
山田は、これを徹底的に印象付ける。
 
我々は、多くの場面で岐路に立たされる。
だが、それは殆ど場当たりに方向が決められる。
彼女のように、熟考することはまずないのだ。
 
ちゃんとせなあかんと思った。