男の痰壺

映画の感想中心です

アトミック・ブロンド

★★★★ 2017年10月24日(火) TOHOシネマズ梅田8
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シャーリーズ・セロンはよくやっていると思う。
少なくとも「マッド・マックス」よりはるかに良い。
だが、こういう体技のキレが要されるアクションでは、やっぱり天賦の才がものを言う。
ミシェール・ヨーやジーナ・カラーノなんかに比べると何とも重い。
なんだか、俺は「ジョン・ウィック」のキアヌ・リーブスを連想してしまった。
で、それが嫌いじゃないんっすわ。
 
惜しいと思う。
単線構造じゃないので、どうにも展開がもたつくのだ。
回想形式だからというのじゃなく、傍系の話に尺を取られて展開を見失う。
フランスの女スパイとリストを丸暗記してる事務屋。
魅力的なキャラなんだが、マカヴォイが霞むんだわ。
そんなんだが、シークェンスごとの演出のこだわりは半端ない。
この階段の長回しを見てて、往年の優作の「最も危険な遊戯」を思い出してしまった。
そして、カースタントの驚愕度は本年の「アシュラ」と双璧かも。
 
あと、ラストが本当に良い。
全篇、強持てのセロンが心からの笑みをもらす。
上司のCIAのおっさん、ジョン・グッドマンやったんやね。
最後のクレジットで初めて気づいた。
 
素人なりに殺陣を熟すセロンの踏張りに好感を持つが惜しむらくは捌き下手による展開のもたつき。脇キャラへの傾倒がマカヴォイを霞ませる。一方で突出する演出の拘りは階段アクションの長回しと驚愕のカースタントに結実。そして鮮やか過ぎるラスト。(cinemascape)