男の痰壺

映画の感想中心です

南瓜とマヨネーズ

★★★★★ 2017年11月12日(日) MOVIXあまがさき4
イメージ 1
何が良かったのかって言われて答えようがない。
どうしようもないダメ人間のダメ衝動にもとづいてのダメ行為の果てのダメ顛末。
 
【女】
才能があると思い込んだバンドマンに尽くし糟糠の妻よろしく風俗で生活費。
客に誘われルール違反の店外デートで副収入。
昔の男が現れると一瞬にしてよろめく。
更にそいつに貢ぐ。
で、結局バンドマンにばれ逃げられる。
 
【男】
女が稼いでくるので日がな一日部屋でぶらぶら。
思いついたように曲づくりしかけてもすぐやめる。
元のバンド仲間がデビューしそうになると、そんな音楽クソだのチョンだの言って腐す。
俄かにバイトしだすと、やたら掛け持ちして現実逃避。
女に男ができたみたいなので潮時と別れて実家に帰る。
 
もう、これは、一昔前なら成瀬巳喜男が得意としたような世界だ。
で、本作でも主人公に下手に寄り添ったり理解を示したりしない。
たまらなくクールだし、しかも、自然体なのだ。
 
カメラが適格で良いのだが、奇をてらったところは無い。
しかし、終盤の男との2度の別れ。
オダギリとのそれはトラックバック
太賀とのそれは長焦点の縦構図。
決めるところは見事に決めてみせます。
 
それにしても、オダギリジョーは、こういうクソ男を演らせたら絶品やね。
 
売れないバンドマンと風俗で働き男を支える女みたいな一昔前の刹那感は皆無で状況に流され何となく日々は過ぎてゆく。ダメな男と女の顛末にダメな俺たちは共振するのだが甘さもない。これは正しく平成末期の成瀬イズムの継承。決めショットの痺れる快感。(cinemascape)