男の痰壺

映画の感想中心です

ノクターナル・アニマルズ

★★★ 2017年11月18日 大阪ステーションシティシネマ12
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強烈なタイトルバックであり、どんな寺山的ないしはリンチ的な世界が繰り広げられるのかとの期待がふくらむ。
 
映画は開巻ほどなく、小説世界がカットインされるのだが…。
暴力描写や緊迫感の生成はなされている。
が、どうにも舌足らずであり、煮え切らない。
暗喩を含んだというほどでもなさそうなのだ。
想定できる展開で想定できる結末にしかならない。
えっ…ていう感じ。
 
それが、現在進行の話と過去の話のジャンクションとして機能しているのだろうか?
 
せんじ詰めれば、充たされない今の自分がいて、昔、物足りなく思ってふった男がいて。
そんで、昔の男とより戻せたイイナあ~って話らしいのだが…。
それに対して小説内世界でも、昔の男はやっぱりダメ野郎では違うんじゃないかと思えるのだ。
 
コクのある描写で勿体ぶって誤魔化している気がする。
デブおばさんたちは醜い自分をさらしている。
お前も、もっと自分をさらせ…なんてね。
 
今彼に浮気されふった元彼と縒り戻したい願望が破砕されるマスターベーション映画なのに、過去と現在のジャンクションになる小説世界は彼女を上げて落とすべき方向性に沿って展開されない。暴力性への畏怖は丹念だがデブおばさんほどには作り手に覚悟はない。(cinemascape)