男の痰壺

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スター・ウォーズ 最後のジェダイ

★★★★★ 2017年12月17日(日) MOVIXあまがさき5
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俺はスター・ウォーズの熱心なファンではない。
であるから、この評価が真っ二つに割れている新作を正しく評価しているのかどうかわからない。
でも、これは「帝国の逆襲」に次ぐ出来だと感じた。
 
何より、これは、綿々と続いてきたルークやレイア姫の物語を断ち切る話である。
カイロ・レンは単純な善悪のどちら側をも目指してはいないらしい。
旧世代のシステムを破壊しようとしている。
彼はスノークに揶揄されたあと、怒りにまかせてベイダーの黒ヘルメットを叩き割る。
そして、以後2度とそれをつけることはないのだ。
 
単純な善悪の価値観にのっとていた旧シリーズとは一線を画す深みを感じさせる。
 
中盤のクライマックス。
スノークと対峙するレイ、カイロ・レン。
潜入して工作を図るフィンとローズ。
敗走する反乱軍。
この3つの局面が激しくカットバックされる。
きわめて王道な手法だが、収斂される帰結は予想を超えている。
それまで、懐疑的だった俺は、この映画的なダイナミズムに快感を感じた。
映画の様相は一変したのであった。
 
終盤、塩の惑星での攻防で、破壊された基地の扉からルークが歩みだす。
一瞬、黒澤の「乱」で焼け落ちる二の城から彷徨い出る仲代の姿がだぶった。
「帝国の逆襲」を演出したアーヴィン・カーシュナーは熱心な黒澤の信奉者であった。
あながち穿った見方でもないのではなかろうか。
 
シリーズ基底の善悪論を葬り時代の変転による旧システムへの決別を謳う。世代は交代しジェダイは消えゆくしかない。3局カットバックによる熾烈な収斂こそ佳境。戦闘シーンはCG過剰の過渡期を経て単線構造に回帰。2人の主役のキャリアアップも物語を担保。(cinemascape)