★★★★ 2017年12月16日(土) 新世界国際劇場
今更感がある題材に今更感のある役者。
食指がわかない映画なのだが、存外に良い。
それは、9・11という題材におんぶにだっこじゃないからだ。
ビル内のエレベーターに閉じ込められた5人の確執は、よくあるヒステリーとか自己愛とかでは語られない。
非情にベタだが、破綻した夫婦関係の回復の話で、それをチャーりー・シーンとジーナ・ガーションが演る。
もはや、1.5級感のある2人が、ここでは非常に良い。
正直、泣けました。
演出的にも煽情的なものはない。
まず、終盤まで音楽は一切使用されない。
限定空間が舞台なので、奇矯な撮り方もしたかろうに、オーソドックスだ。
そういうことは、実は自信があるやつにしかできないのだ。
出し殻的題材に今更の役者陣だが、殊更に題材に乗っかって扇情的にならず寧ろスタティックな演出でド真ん中から夫婦愛を謳われて射られる。となればシーン・ガーションのキャスティングも反転して吉と出た。降って湧いた消防士リスペクトも誠実の証。(cinemascape)