男の痰壺

映画の感想中心です

希望のかなた

★★★ 2018年1月8日(月) シネリーブル梅田1
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カウリスマキは昔は好きだったので、凡そ観てはいたのだが、最近はごぶさただった。
たぶん、「浮き雲」が最後だったと思う。
まあ、時間の都合がつかなかったとか色々あったのだろうが、煎じ詰めれば「飽きた」ってことだと思う。
 
難民問題を取り上げるという新しい試みが為されている。
しかし、それは相変わらぬカウリスマキチックなおっさんのレストラン話とまぶされてしまう。
巧く融合して何か新しいものが産まれたとも思えないのだ。
嘗て「マッチ工場の少女」のような悪意と地獄を垣間見せた気概はもうないのだろう。
 
バンドの曲が寸景でなく、けっこう丸っぽ何回か尺を費やされる。
こういうのも、ああ…抽斗ないんやなあと思えるのだ。
 
経営がままならず、寿司レストランにトライする件りだが、TVの「ぶっこみジャパニーズ」そのもの。
少なからずゲンナリした。
 
難民問題なら、それ一本で徹底的にやってほしかった。
そうすべき題材だと思う。
 
難民問題を語るに一本槍ではいかず自家籠中なレストラン話に塗したのが安心な一方で安易。両者が物語の本質では融合しないので、おっさんと若者の行く末の対比が効かない。バンドの頻出や日本歌謡の使用を含めカウリスマキエキス集大成だが飽きも感じる。(cinemascape)