男の痰壺

映画の感想中心です

伊藤くん A to E

★★★★ 2018年1月19日(金) TOHOシネマズ梅田5
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TVドラマがあったようだが、未見。
なので比較のしようもないが、予想外に良かった。
 
「伊藤くん」とタイトルに冠されているが、これは木村文乃扮するアラサー女の再生譚だ。
 
で「伊藤くん」は単なる狂言まわしかと言えば、そこにも留まらない。
キャラ付けが尋常ではないのだ。
普通は、クソ男とか痛い男ってのはイケメンとか財力とか強引な性格とかを利して女をスケコマしまくるもんだ。
そして、使い捨てのように女を捨てる。
のだが、この伊藤くんは、そういうのとは一線を画した新しい価値観の持ち主みたい。
で、けっこう女に痛い目に合う。
特に池田エライザとの一件は強烈なダメージを食うのだが、そのときの岡田の顔の不気味さ。
 
終盤で、木村と岡田の本格的な対峙シーン。
このシーンは強烈に長いワンカットで撮られていて、イタい伊藤のキャラが徐々に悪魔的な色彩を帯びる。
少なからず動揺し興奮した。
 
役者が皆いい。先述の池田エライザもだが、志田未来の短駆にも好感をもった。
 
アラサー女の再生譚として身に纏った虚栄を脱ぎ捨てよという普遍メッセージが心に響くがカウンターパート伊藤くんの一筋縄でないキャラ付けはニヤけたイタい男→ヘタレ野郎→メフィストフェレスと変幻。2人の対峙の長回しの果ての岡田の異相の魔は戦慄。(cinemascape)