男の痰壺

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嘘を愛する女

★★★★ 2018年1月21日(日) MOVIXあまがさき6
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何年間も一緒に暮らした男が、実はどこの誰とも知れぬ野郎だったという話。
失踪者の数が年間数万人に達する日本でキャッチーな題材である。
俺だって、いつそうなるかわかったもんじゃないと思ってるし、切実なお話だ。
 
昨今の映画は徒に刺激の嵩上げが為されてるから、こういう題材だと気持ち悪い帰結を思わされるのだが…。
【以下ネタバレです】
この映画は、至極穏当な話であって、それが生温いと見る向きもあって当然と思う。
だが、そいつがサイコキラーだったとか、変質者だったとかって、そういうのが寧ろ俺は飽きたんだと思う。
新鮮であった。
 
中盤以降はひたすら、そいつが何者であったかを探求する旅で、これが、確かにあまり進展しないからダレる。
でも、探偵の吉田鋼太郎がいみじくも言うように現実はそんなに都合よくはすすまないんです。
こういうダレた溜めがあってこそ、終盤が活きるんだと思う。
何を意味がないダルいことやっとんねん…というイライラが終局で一転する。
鮮やかな帰結であった。
まさみ&鋼太郎の2人旅が適度の緊張と適度の荒みと適度のペーソスがあってよろしいわ。
黒木瞳が意味なく汚れ役で客演するのも贅沢っす。
 
長澤まさみは、ここんとこずっとビッチ系の役が多かった。
ここでも、そういうキャラづけ引きずってるが、つくづく彼女の耳は綺麗でそそりますなあ。
俺、耳フェチなんですわ。
 
なんだかダルい中盤の捜索行を辛うじてまさみ&鋼太郎の適度の連帯と 反目が牽引するのだが、終盤の帰結を見れば意味を為したのだと納得する。意外性の無い無難さはサイコパス全盛の作劇へのアンチテーゼだ。そして、炸裂する予想外の耳フェチズム。(cinemascape)