男の痰壺

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女は二度決断する

★★★ 2018年4月14日(土) シネリーブル梅田1
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こういうことを言いたいなら、主人公の設定はどうにかならなかったのかって思う。
 
冒頭、刑務所に収監中の男と結婚。
男は出所後、悪行から手を引いたらしいが、それでも胡散臭い連中と付き合いがある。
女も体にタトゥー入れまくりです。
観る者に予断が発生するのだ。
 
相手もネオナチとのことだが、移民ぶち殺しまくりのクソ野郎どもであるとの描写は無い。
イケすかない男女ではあるが、キャンピングカーで海辺に露営してジョギングって健康じゃん…てことなんですわ。
 
【以下ネタバレです】
どうも、単純に復讐のカタルシスを描きたいのではないらしい。
1回目に思いとどまるのは、気が引けたか手法に疑義をもったか不明。
まあ、おそらく気が引けたのだろうが、そのあとに来るとめどない永遠の喪失感が心を蝕む。
もはや、この世を生きる意味も見出せない。
で、2度目の決断。
 
夫も真面目な移民。
妻も真面目な主婦。
そういう設定なら、描かんとするモチーフは、もっとダイレクトに沁みただろう。
 
ダブルフォーカスが多用されているが、好みじゃないんです。
パンフォーカスに比べてダサいと思うもんで。
まあ、いかにもドイツ映画らしい、融通のない四角四面さが身上とも言える。
 
最初の決断のあと徐々に常態化しゆく肉体によって心の置き所は逆に失われていき、家族や友人ももはや世界の外にいるとしか思えない。そういう孤絶感の在り様は通り一遍ではない。しかし、この主人公の環境設定が徒に特異である点が素直な心持を阻害するのだ。(cinemascape)