男の痰壺

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ワンダー 君は太陽

★★★★ 2018年7月15日(日) TOHOシネマズ梅田5
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病気が題材の映画も子供がメインの映画も好みではない。
だけど、この映画は見てよかったと思った。
 
言うなれば一種の理想郷を描いたもの。
で、そのことを映画は観客に信じ込ませることができるかが正念場なのだが。
 
搦め手からの語り口が効いている。
主題からして、難病の少年とその両親が主軸の物語っていう予断は覆されるのだ。
君は太陽」って副題は言いえて妙。
これは太陽である難病少年とその周りに位置する惑星群の包括的な物語だ。
惑星とは両親と姉、クラスメイト、姉の友人、姉の恋人、学校の先生たち。
その惑星たちの物語を主人公と必ずしもリンクしない主体的物語として語ったところが新鮮である。
独立したいくつもの挿話が時にクロスオーバーしながら構成される。
 
彼ら彼女らを主体的に描くことで見る者は肩入れしていく。
そして、理想郷は完成されるのだ。
 
姉ヴィアを演じたイザベラ・ヴィドヴィッチがいい。
かつてのキルスティン・ダンストみたいな翳りをまとわらせている。
少年側につくクラスメイトを演じたノア・ジュプとミリー・デイヴィス。
この少年少女もよかった。
総じてキャスティングが大正解だった。
 
理想郷を描いてるが搦手からの多層な人間描写が恒星オギーの惑星群として主体的に星系を形成してるのが通り一遍でない。その主体性ゆえに観客は世界に肩入れし理想郷は完成される。姉・クラスメイト・教師などベストキャスティングで親2人は居るだけでいい。(cinemascape)