男の痰壺

映画の感想中心です

カメラを止めるな!

★★★★ 2018年8月18日(土) TOHOシネマズ梅田1
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知人が書いていたが、確かにこの300万足らずの製作費のインディーズ映画が、大阪は最1等地の旗艦館であるTOHOシネマズ梅田のスクリーン1(席数737)に掛かってることは事件だろう。
興業レベルでは数年前の「君の名は。」の異常ヒットに匹敵する。
 
で、見てどうだったかって?
どうやろか…正直、この現象わからんわ。
この程度の気の利いたインディーズ映画ってけっこうあるんちゃうやろか。
まあ、それでも、とにかく30数分のワンカットを撮り切っており、それが又周到に計算された準備に基づいているというのは見物である。
 
映画製作現場を描いたメタ映画は目新しくはない。
それでも海外ではフェリーニトリュフォーはじめ傑作が多いのだが、日本ではこれまでどうやったやろか。
あんまりなさそうな気がする。
そういうジャンルでベンチマークとなるポジションは確立したんちゃうやろか。
 
でも、俺がこの映画で1番心打たれたのは、パラノイアな嫁と娘に挟まれた監督が、下げたくもない頭下げながら生活のために仕事をこなす日常があって、ひょんなことから役者の欠員を自らが埋めなければならなくなって、監督役としてカメラの前に立った時にスイッチが入ってしまう瞬間です。
はっ倒してやりたいクソ女優に本音で罵声を浴びせ、クソなまいきな男優にはピンタを喰らわす。
普段やったら絶対に出ない本音が出ちまう。
でも、それで意外に役者たちはついてくるんです。
 
たまには本気にならんといけないんですわ。
仕事も家庭もね。
深く自戒した次第です。
 
迎合的な劇伴と映画賛歌は若干鼻白むところだが、パラノイアな女房・娘との家庭の為に自分を殺して世間に頭を下げる男は不如意な経緯からカメラの前に立った瞬間スイッチが入る。虚構に仮託してクソな奴らをばっさり斬って棄て現場は好循環。これこそ理想郷。(cinemascape)