男の痰壺

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幌馬車

★★★★ 2018年9月16日(日) プラネットスタジオプラスワン
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ジョン・フォードが自作で1番気に入ってると言ったとかっていうことだ。
それにしては、単線構造の小品なのだが、確かにエキスの結晶のようなもんとも言える。
 
主演の2人が出会うのが、
モルモン教徒の堅物開拓民一行。
バンディット一味。
旅芸人の3人連れ。
ナバホ族の襲撃。
そして、ガンファイトと恋。
…ってなわけで、エキスであります。
 
エキスは「駅馬車」と「荒野の決闘」からの再使用めいているが、インディアンとは融和路線。
蛇しか撃ったことがねえって言う主人公が、ここぞのところで鮮やかな早撃ちを見せる。
このあたり、後年の「シェーン」に影響を与えているかも。
 
この地味な小品映画で、それでも鈍色の輝きを感じるのは主役のベン・ジョンソがいいから。
ベン・ジョンソンって、俺の同時代的には「ラスト・ショー」や「ワイルドバンチ」のバイプレーヤー。
ってことなんですが、主役に据わっても味があって良いなあ。
彼は一家の中でもフォードに気に入られてたらしい。
一度、主役で使ってみたかったんでしょう。
 
如何にもな単線構造の小品で滋味を醸す脇エピソードの1つも欲しいとこだが、一方でフォードエキスの陳列会の趣があり捨て難い。何よりベン・ジョンソンの主役としての据わりの良さもあってエキスとの親和性は抜群。熟知した男が醸す色気が堪らない。(cinemascape)