男の痰壺

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ハード・コア

★★★★ 2018年11月23日(金) 梅田ブルク7シアター5
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ダメ野郎どもが、打ち捨てられたロボットをみつけて物語が転がる。
ってのは、正直食傷であって、そんな今更の話なんてみたくもない。
アメリカ映画並みに特撮でガンガンやるってのもしんどいので、ヘタウマ路線でシケたデザインでキッチュに。
ってのも、これまた今更です。
 
山下敦弘は原作のファンだったと言ってるが疑わしいもんで、少なくともロボットには興味がないと思う。
代わりに力眼が置かれるのが主人公を取り巻く人物群で、これのみすばらしい。
童貞の荒川のために山田が頼み込むフィリピン人ホステス。
童貞の荒川のために山田が依頼するデリヘルの女。
右翼結社の面々とその幹部の娘。
スナックで因縁つけてくるヤクザ。
 
特に幹部の娘の石橋けいが秀逸と思う。
山田の弟の佐藤健が遠目に見て、瞬時に兄貴の手に負える女じゃないと言うのだが、そんなの台詞でいくら言っても始まらない。しかし、この石橋けいは出てきた瞬間にヤバいって空気を纏っている。
逸材ではなかろうか。
 
前半「リアリズムの宿」で後半「苦役列車」のテイストを感じて、さもありなんと思った。
しかし、やはり、この原作は山下の柄じゃない感はぬぐいがたかったと思う。
最後はブン投げたように終わる。
まあ、しかし、嫌いじゃないっす。
 
ロボットや埋蔵金や右翼結社やらを巡るあれこれを真剣に語る気も無さそうで物語としては死んでいるのだがクソ女との顛末やヤクザとの諍いとかの傍系描写は俄然やる気を出してコクを発揮する山下のトホホな資質を愛でる映画。石橋けいの爛れ方は新鮮。(cinemascape)